極彩色のクオーレ






そうしてセイクリッドが暴走したニコを壊せば、彼は完全にこの街の英雄となる。


そうなればもう、誰も覆すことはできない。



(まさかセイクリッドの奴、こういう状況を狙ってティファニーをさらったのか?


ティファニーに訳のわからねえ責任を押し付けてルースから追い出そうとしたのも……)



ぞくりと寒気がした。


まだ煙幕の立ち込めている穴を見ないように顔を背ける。


あの穏やかで優しい顔の裏に、一体どれほどの策略が潜んでいるのだろうか。


多数の人の考えを自分にとって有利なものにしてしまうあの力は天性のものなのか、人々の先頭となる者所以なのか。


大衆を自分の味方につけ、自分に盾突いてくる者たちを悪だと仕立て上げる。


そして、反論の余地も与えず、立ち向かう気力すら起こらなくなるまで、完膚無きまでに叩きのめす。


そんなセイクリッドのもう一つの顔を想像して身震いが起こったのだ。


寒気が走った腕を反対の手で強く握り、セドナは蒼潤色の目に炎を宿した。


怖がってたまるか。


もはや何が正しいのかセドナにも分からなくなってきている。


だが、あんな奴の思い通りには絶対にならない。


自分は自分の信じているものを貫き通す。


ニコたちを悪役にさせてたまるものか。



(……こいつらは絶対に、俺が守る、守ってみせる。


見てろセイクリッド、俺たちは簡単には屈しないからな……!)




走り出した牡鹿の上で、セドナはティファニーを支えながらかたく誓った。