作業員は何度か頷くと、少年の肩に手を載せてこっそり言った。
「なあなあ、俺の家の冷蔵庫も直してくれねえか?
もちろん金は払うからさ」
「あっ、ずりいぞ。
だったらウチの門も直してくれ!」
二人の会話が耳に入った、別の作業員が叫ぶ。
それに気付いた作業員たちも、我も我もと近づいてくる。
「おめえら抜けがけすんな!」
「先にウチのドアを直してくれよ。
建て付け悪いうえに、鍵がかかりにくくなってんだ」
「ひでえ!俺が最初に頼んだんすよ!」
「年功序列だ、当たり前だろーが」
「なーなー修理屋。
あいつらは放っといて、俺のハンマー直してくれよ。
ぶっ叩く面が割れちまって、鑿が叩けなくなって困ってんだ」
「お前ら!仕事に戻れ!!」
クォンタムの怒号が響く。
作業員たちは水を打ったように静まり返り、こそこそと持ち場に戻った。
(上の立場の人が怒れば、下の立場の人たちはその言うことを聞くんですね……)
少年は彼らの様子を眺めてそう感じた。


