ギベオンの声はほとんど息になっていたが、そこに込められている怒りは凄まじい。
いきなり男たちに聞こえそうなくらいの声を出されてしまい、見つかるのではと怖い思いをしたのだ。
怒るなという方が無理な話である。
ケセラは恐怖と申し訳なさにますます縮こまりながら、地面に額をこすりつけるようにして謝った。
「ご、ごめん、そんなつもりで喋ったわけじゃないよぉ。
こ、声だってつい……」
「当たり前だ、そんなつもりあってたまるか。
大体お前はいつも……」
そこでギベオンは言葉を切った。
家の方の空気が動いたのだ。
静かにしていろとケセラに念を押して、男たちの様子を伺う。
「王子、よくぞご無事で」
「待たせたな、連れ戻してきたよ」
「こいつ、まさか」
「気を失っているだけです、変な風に考えないでください」
「わ、悪い」
男たち、衛兵と狩人たちに混ざってセイクリッドが立っていた。
黒と茶色っぽい中に真っ白な髪はよく目立つ。
そしてその腕には、両腕を縛られ目隠しをされ、ぐったりしているティファニーがいた。
銃による怪我は負っていないようだが、ここからでは詳しい状態が見えない。


