カーボたちの荷車は、少年のいたところから少し離れた、主導の脇に止めてあった。
「あららー……」
薄暗いうえに遠目でも分かるほど、被害は大きかった。
6個の轍は半分が折れているし、荷台の側面には大穴があって中が丸見えだ。
ここからでははっきりとは見えないが、角の一つが抉れているらしい。
さっきのスダックは、あそこを突き破って脱走したのだろう。
ぽっかり口を広げた大きな檻が、スダックの凶暴さを物語っている。
荷車の周りにもがっしりとした男が数人いて、それぞれが荷物の点検をしていた。
同じように生け捕りされた獣は、興奮しているのか檻の中で大暴れ。
つんざく鳴き声に、鼓膜が痛くなる。
「うるせぇーーーーー!!!」
カーボの怒号が轟いた。
落ち着かせようと動いていた男たちは凍りつき、獣たちの騒ぎは一際大きくなる。
「あなたの方がよっぽどうるさいです」という少年のツッコミもかき消され、カーボの耳には届かなかった。


