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「ハル、ベッドで寝よう」



今日も、おばさんもおじさんも仕事の牧村家。

出かけていた明兄がオレを伴って帰宅し、昼食に同席すると知って、ハルはとても喜んでいた。



「今日は食が進みますね」



と、沙代さんに言われるくらい、ハルは元気だったけど、食後、リビングに移動しておしゃべりをしている内に、ソファでうとうとし始めた。



「陽菜、風邪引くから、ベッドに行こう」



明兄の声にハルがうっすら目を開けてにこおっと微笑んだ。

だから、ハル、なんで実の兄貴にそんなとろけるような笑顔を見せるんだよ。

思わず嫉妬心丸出しで、眉間にしわを寄せると、明兄が隣でプッと吹き出した。

悔しいから、明兄に取られない内に、ハルをすっと抱き上げた。



「ハル、部屋行くよ」



今度は目を瞑ったまま、ハルはにこりと微笑んでくれた。

小さく唇が動く。

囁かれたのがオレの名で、更に笑顔が明兄と遜色なかったのでオレは溜飲を下げた。



「ニヤけるな、バカ」



明兄がハルに届かないよう、小さな声で言った。