ハルがなんでオレを呼んだか、分かった気がした。
ハルに横恋慕中の一ヶ谷悟。
そして、オレに興味津々らしいオレが助けた女。
……確か、篠塚まゆとか何とか言う名前の。
ずっと抱きしめていたかったけど、先にやることがある。
オレはハルから離れると、一ヶ谷と篠塚の方に向き直った。
「おまえら、ここで、何してたの?」
腹の底から声を出した。
我ながらドスのきいた声だった。
2人は何も言わなかった。
篠塚が悔しそうに顔をゆがめた。
一ヶ谷は、ばつが悪そうに目をそらせた。
次に何を言おうかと考えていると、
バタバタと足音がして、まず斎藤が、そのすぐ後に、志穂が駆け込んできた。



