ケータイ、スマホは当然、授業中は禁止だったけど、今日に限って、オレは堂々と机の左上に乗せていた。



気づかなかった先生もいたけど、4時間目の英語教師は目ざとく気がついた。



「広瀬。スマホは鞄に入れておけ」



若い男の先生。

嫌みはなく、軽い注意。

どちらかと言えば、さわやかなタイプで人気のある先生だ。



「今日、保健室の先生、一日出張でいないんです」

「ん?」

「ハル、今、一人で寝てるから」



そう言うと、先生は教室をぐるっと見回して、ハルがいないのを確認した。

そうして、



「仕方ないな。……音は消しておけよ」



と苦笑い。

去年の派手な告白のおかげで、オレたちの仲は先生たちにまで、しっかりと浸透している。

ハルは嫌がるけど、はっきり言って、割と便利だ。



「消してあります! ありがとうございます!」



気合いの入ったオレの返事に、何人かが笑った。