「え? オレ!?

……いや、残念ながら、オレはハル一筋で、いくら斎藤だからって男は……」



オレがおどけて言うと、斎藤はでかい身体を乗り出してきて、ゴンッとオレの頭を叩いた。



「あ、バカ! 何すんだよ」

「おまえ、そういう冗談、いい加減やめろよ」

「……オレ、頭打って入院してんだぞ」



叩かれたのは額の上辺りで、たんこぶの場所には程遠い。

別に痛くも何ともなかったけど、冗談半分、恨めしそうにオレがそう言うと、

斎藤はハッと我に返り、慌てふためいて、



「そうだった! 悪い!! ごめん!」



と、「大丈夫か?」、「先生呼ぶか?」と大騒ぎしたものだから、逆にオレが、



「……ごめん、からかって。ぜんぜん、平気デス」



と謝る羽目になった。