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蒼太との楽しい会話を続けていると、あっという間に電車は目的の駅に到着した。


太陽は徐々に真上へと向かっていて、もうすぐお昼という時間。


あたしたちは住所を頼りに藤井さんの実家までたどり着いていた。


その家は2階建ての一軒家で、灰色の塀をくぐってすぐのところが玄関になっていた。


あたしは茶色いドアの玄関前に立ち、表札を確認した。


木製の表札には【赤上】と書かれている。


あたしは運転手さんからもらったファイルを取り出し、確認する。


そこには【旧姓、または本名は赤上か?】と、走り書きがされている。


ここが藤井さん実家かどうか、それが今のあたしにとっては大問題だった。


万が一、違ったら?


あたしは無関係な人の家に蒼太を連れてきてしまったことになる。


そして蒼太はきっと、その人があたしたちを別れさせようとしているのだと思い

込み、手を出すだろう。


そうなったら、あたしは一体どうすればいいのかわからない。


でも……。


もう、これしか方法がないんだ……。


あたしは意を決し、その家のチャイムを鳴らしたのだった……