いくら時計を睨み付けていたって、時間は刻一刻と過ぎていく。


そしてあたしと実紗に容赦なくバイト終了時刻を告げた。


「終わっちゃったね」


実紗もあたしと同じ気持ちだったのか、スタッフルームに戻ると肩を落とした。


「そうだね……」


あたしはすぐに制服を脱ぐのをためらい、そう答えた。


家に帰ると蒼太が待っている。


するとまたあたしは蒼太に気を遣い、言葉を選びながら過ごさないといけなくなる。


それはひどく気が重いことだった。


「先生みたいな人なら、よかったのにね」


不意に、実紗がそんな事を言い出した。


昼間の出来事を思い出しているのだろう、頬はほんのりとピンク色に染まっていた。


実紗は最初から先生のファンみたいな子ではなかったけれど、今日の一件で少し心に変化が生まれたのかもしれない。