「えぇ。あたしはパソコンとか全然わからなくて、使い方を依子から教わったりしていたの。

このパソコンも兼用で使わせてもらっていたから、パスワードを知っているわ」


そう言い、恭子さんはパソコンの電源を入れた。


パソコンはすぐに小さな機械音を立てながら目を覚ます。


画面が明るくなり、パスワードを入力する画面になった。


恭子さんが慣れない手つきでキーを打ち込むと、壁紙のグリーンの芝生が現れる。


「依子さんはどんな時にパソコンを使っていたんですか?」


「そうねぇ……。依子はイラストを描くのが好きだったから、そう言う事に使っていたと思うけれど、詳しくはわからないわ」


そう言われ、あたしはもう1度一番下の引き出しをあけてみた。


教科書の一番下に惹かれるようにして、ペンタブレットが置かれている事に気が付いた。


パソコンでイラストを描くときに使う道具だ。


「恭子さん、依子さんの部屋はずっとこのままの状態なんですよね?」


念のために、あたしはもう1度そう聞いた。


「えぇ。手をつけていないわよ。どうして?」