依子さんの部屋は落ち着きのある広い和室だった。


先ほど通された部屋と同様に真ん中に大きなテーブルがあり、壁際にはパソコンデスクと引き出しのついた棚があるだけの、生活感のない部屋だ。


「掃除をしたように綺麗な部屋でしょ? でも、生前のまま残してあるのよ」


恭子さんがそう言いながら部屋の中へと足を踏み入れる。


あたしと実紗もそれに続いた。


「とても綺麗好きな人だったんですね」


「そうなのよ。だから探すといても大して探す場所もないかもしれないけれど、好きに見てもいいわよ」


「ありがとうございます」


あたしは恭子さんに一例し、まずはパソコンデスクへと近づいた。


真っ白なデスクの上には小さなノートパソコン。


その隣には木製の引き出しのついている棚。


パソコンの中にもなにかあるかもしれないと思ったが、勝手につつくのはしのばれて、あたしは引き出しへ手を伸ばした。