月隠れの庭

どうやら今ので切れたらしい。

(人間じゃない事は分かるけど…でもこの感じは人鬼でもない…)


ひたひたひた…


何かが倒れている尚人に、近づいて来る。

得体の知れない存在に、彼は心の底から恐怖を感じた。


(とりあえず、周子ちゃんから離れないと…)


再び鈍い音がして、指輪が壊れる。


(障気が、強い)


次第に濃く立ち込めるそれに息苦しさを覚えながらも、体を起こそうとしたその時…尚人は前髪を掴まれ、無理やり立ち上がらせられた。


パリン…


そしてまた1つ、指輪が壊れる。


(これは一体…)


何の気配もなく現れ、人鬼とは異なりながらも強い障気を持つ存在…。

その正体を確かめる為、尚人は切れた痛みを堪えて、瞑っていた人鬼の瞳をゆっくりと開けた。