月隠れの庭

「大変だ、今から調べましょう。もし壊れてたら、修復の費用が返せるまで何でもしますから」


尚人は青ざめた表情で、懇願するように正成に詰め寄った。

すると、その言葉を待っていたと言わんばかり、


「じゃあ、その時はぜひうちの養子に…」


正成は彼の手を取り微笑む。

聞いていた流星は、とんでもない発言に唖然とした。


「…こ、このクソ親父!!最初からそれが目的か!?そんな大切なものがあったら、絶対こんな風にイス扱いなんてするわけねーだろがっ」


すると、正成はベーッと舌を出した。

「だってお前、可愛くないんだもん」

「うわっ、気色悪ぃ言葉で喋るなよ」

体中がムズ痒いと、流星は首筋をバリバリ両手で掻き毟る。


実の息子より尚人の方がいいと言われた事より、この男が自分と血がつながっている事の方が彼にはショックだった。


流星は段々と頭が痛くなってきて片手でこめかみの辺りを押さえると、

「ここはオレたちで片付けるから、親父は家に戻ってろよ。玄関開けっ放しだし、寺を留守にしてたらマズいだろ」

渋い口調で言った。