練習試合が終わってすぐ、キラキラ小僧はこちらサイドのベンチへやって来た。
「あんた等凄いね。交代無しであんなに走り続けてたのに、まだまだ動けそう。これじゃ、どっちが勝ったか分からないよな」
キラキラ小僧の言う通り、こまめに交代していた我妻北中サイドの選手達は疲弊しきっていた。
一方のこちらのバスケ部は、クールダウンの為に各々がストレッチをする余力を持っている。
「何言ってんだ。俺達の惨敗だよ」
「点の問題だろ?うちの監督、このスタミナの差にピリピリだぜ。俺、怖くてあっちいらんねーし」
べぇ、と舌を出しておどけて見せたキラキラ小僧の振り撒くロマンティックなキラキラに、バスケ部のキラキラ度も増しているよう。
佳那汰は、キラキラ小僧を中心に輝くその空間が酷く眩しくて、陽射しを直に瞳に浴びたときのように目を細めた。
「なぁ、それだけ巧いなら強い高校に行くんだろ?どこ高行くの?地方だったり?」
友人の一人がキラキラ小僧に目を輝かせながら尋ねた。
すると彼は、親しみやすく、それでいて何とも言い表し難い儚げな笑みを携える。



