我妻北中のメンバーは、新チームに切り替わった一、二年中心のチーム。


対するこちらは、三年二人と二年、一年が一人ずつに助っ人佳那汰。


まだ骨格のしっかりしていない相手に、ついて行くのがやっとの試合運びだった。


なのに、彼等は満たされた瞳を持って試合をしている。その気持ちが佳那汰には全く分からなかった。


離されても離されても食らい付く彼等の気持ちが、1ミリも分からなかった。


ピピッと短い笛の音が鳴り、試合が止まる。


それは、圧勝ムードの我妻北中側の、選手交代の笛の音。


Tシャツに、18番のビブス身に付けた少年は、その空間の誰よりも華やかで、キラキラと輝いていた。


「わ……あれ、夏の大会でベストフォワードになった奴」


友人の一人が呟いた。


身長176センチと長身の佳那汰と殆ど変わらない身長だが、ひょろりと細い体に長い手足、大きな掌を持つ少年。


長めの黒髪をヘアバンドで固定し、きつめの大きなつり上がった瞳は目の前の試合にわくわくを孕んでいる。