その派手髪が人混みの輪をするりと潜り抜け、す、と佳那汰の隣に立つ。


佳那汰の視線も何のその。派手髪の彼は目を細め、ブレザーから覗くダラリと垂れたパーカーの袖口に鼻を埋め、順位の紙をジーっと見つめた。


「げ、二位かよ。一位は493点……逆に、何間違えんだよそこまで点取って」


ボソッと呟いた声に、佳那汰はハッとしてしまう。


ガリ勉ビン底眼鏡を想像していただけに、驚いてしまうのも無理はない。


本物の『香椎恋夜』は、名前負けしているところがひとつも無い、オシャレな同級生だったのだから。


「ケアレスミス、かな。見直さないから、答案用紙なんて」


「あん?……あれ、お前、確か同じクラスの」


「うん。同じクラスの藤堂佳那汰。宜しく、香椎」


思わず話しかけてしまった佳那汰は、自分で話しかけといてどんな表情でいれば良いのか分からず、情けなくフニャリと笑う。