【完】籠球ロマンティック




第二試合までが終わり、10分休憩が挟まった間の時間。


「次はどんなチームが来んの?」


「んっとねー、次は……」


リッコが次の対戦を説明しようと俺に顔を寄せた時、俺にとって、この先きっと忘れられないだろう出来事が巻き起こる。


明るかった照明がダン、と音を立てて落ち、コートの真ん中に光が絞られる。


「うわっ!え、何これ?」


「久しぶりに、あれ、始まる」


暗いせいで表情は読めないが、マカロンのまろやかな低音が聞こえる。


……いや、間違えた。明るかろうがマカロンの表情なんて読めやしねぇ。


ザワザワと小さな観客の声が響く中、会場にはこれまた、誰しも聴いたことがあるだろう音楽がアレンジされて流れ出す。


「……ゴジラ?」


そう、これは疑うことなくゴジラだ。どんなにかっこよくアレンジされてようが、まごうことなくゴジラである。


《ヘーイ!楽しんでる?》


スポットライトの真ん中、いつの間にか現れた、さっきのあのスゴ技アシメ金髪、オルフェの55番が左手でドリブル、右手でマイクを握っている。


「わー、相変わらずだねぇ、イケメンゴジラ」


ハーシーはこの状況に、抜けた声を出して楽しそうにクスクス笑っていた。