楽しみにしていることというのは、あっという間にやって来る。
「おわー、噂のハーシーってこのちっこい人?ちっさ!童顔!」
「わーお、噂のカナちゃんってば正直者ぉ!おっちゃん穏やかな顔だけどムカチャカですわよ?」
宣言通り部活をサボった佳那汰はお初の顔合わせのハーシーに対しても正直な気持ちをバッスンバッスンぶっ込んでいる。
「ねーねームカチャカって何?」
「ムカ着火ファイヤーってことでしょ?え、何?ハーシー若者言葉逆に新たな言葉にしてんの?オッサンのやることだわぁ」
「だわぁ」
そんな佳那汰に便乗するリッコと、特に意味もなく合わせるマカロン。
「うん。流石に同情するよハーシー。辛いね。これからアッシーパイセンになるのにね」
「もーね、良いよ。今時の若者は毒舌ばっかだよ。人を傷付ける言葉のナイフを常に装備してるんだよ」
冗談半分に『えーん』と泣き真似をしたハーシーに苦笑いし、俺達は小さいオッサンの愛車クルーザーに乗り込んだ。
「れっつら、会場!」
リッコの楽しそうな声と共に、走り出す車。
ハーシーのクルーザーからはメタルが流れ、臓器を音で揺さぶり、俺のテンションを上げて行く。



