琴音店長と話し込んでいるうちに、どうやら客が来たようだ。


ドアに吊るされたウッドの飾りがまろやかな音を鳴らしてそれを告げる。


「まぁ、広がった夢を現実にする前に、その現実のレベルがどんなもんか見とかないとな」


来週の公式リーグを観に行くのがますます楽しみになってきた。そこで半年に1度チャンピオンを決める為にスキルをバチバチぶつけ合って戦う。そして敗れた者は自動降格、シビアだけどオーディエンスは燃えるシステム。


「しっかし、トライアウトねぇ、うん。とりあえず、リッコに聞いてみよう」


手にあるフイヤーをデニムのポケットに畳んで突っ込み、俺はカウンターの外に出る。


客と会話している琴音店長を横目に、俺はスニーカーの在庫を確認に、チェック表片手にボールペンをくるりと数回回した。


店内には相変わらず、琴音店長の趣味のクラブミュージックが流れ、居心地の良さを強調させるよう。