ミスマッチな身長差ながら、それぞれの技量を生かして点の取り合いをする二人をぼんやり見つめながら、リッコとの会話を続ける。


「このチームって、名前とかあるの?」


「お、良い質問するねぇ。勿論ありますとも」


とりとめ考えもなく聞いた質問に、リッコは丸く柔らかそうな頬をふにゃりと動かし笑う。


「うちのチームはね、『snake aubade』って名前なの」


「スネイク・オーバドゥ?」


「そ。私達は空高く飛べる鳥じゃない。蛇よ。地を蛇行しながら、夜明けに向かって進む蛇。……悪くないでしょ?」


何だか、そのリッコの答えに様々な含みがあるような気がして、だけど、聞いてはいけないと感じる。


「蛇、ね。イカしてんじゃん?なかなか」


「でしょ?理解力あるわね、レンは」


中学時代、恐れることもなく高い所を飛んでいた俺だけど、きっと、今の俺はリッコの言う通り地を蛇行しながら這いつくばる蛇。


けれど、不思議だ。あの、太陽に近い所にいた頃見ていた景色より、こいつらと、ロマンティックな光景の広がる夜明けを共に蛇行する方が、わくわくするような気がしてならないんだ。


『それなり』から変革するのも、そう悪くないんじゃねーの?なんて、思えたりするもんだ。