「あはは!レンちゃんもろ顔に感情出てるって!面白いね!」


「あ、それは申し訳無い」


俺の思っていることに気付いて尚のほほーんと笑えるハーシーは、見た目は幼くてもかなり大人だ。


もし俺が七つも年下にタメだと思われたら、とりあえず怒ってシバくだろう。その姿が容易に想像出来る。


「まぁとにかく、詳しくレンの予定聞いて練習時間組むね」


ハーシーは『ニッコリ』と効果音がつきそうな程の笑顔を向けてその話を終わらせてしまう。


この顔を見ると、何だか日々の生活にバスケが入っても平気な気がしてならないと思えるから不思議だ。


「ね、どっちが、勝ったの?」


そんな俺達の会話の中に、抑揚の無い声でマカロンが入ってくる。かなり唐突に、予期せぬパスが回ってくるくらい唐突に。


「え?勝つって?何が?」


「レンと、リッコ。1on1、した?」


「いやー、マカロンさんよ、それは野暮な質問じゃねぇの?俺もお前もリッコには勝てなかったじゃないの」


この口ぶりからして、リッコはこの二人にも勝負を吹っ掛けて、そして、見事に勝ったのだろう。


リッコに負けても恥ずかしくはないからハーシーは平然と負けたことを口に出す。なんせ、リッコは男だったとしても上手い方なのだから。