【完】籠球ロマンティック

そこはムネヒロの完全なるソロステージなのに、突然、思わぬ伏兵が飛び出して来たのだ。


ハーシーだ。体格の良い選手にスクリーンをかけられていた筈のハーシーが、ちょろりとムネヒロの目の前に走り込む。


体が小さくとも、『スネイク・オーバドゥ』の中で一番バランス良く高い技術を持ったプレイヤーであるハーシー。


「ちっちゃいオッサン嘗めんなよ、若者よ」


あーもー、素晴らしくカッコいいよ、ハーシーは。


オフェンスの1ターンごとに決まっているボール保持時間は15秒。僅かな時間だし、このまま抜くとは思えない。


そうなると、俺がすることはハーシーについていた相手にマークをすること。


俺のディフェンスで片方のパスコースを塞がれた『ディアボロ・ボーイズ』は、残るはマカロンにスクリーンをかけている選手へのパスのみとなる。


ビッ、と投げられたボール。そのボールが相手方の手に渡るほんの僅かな瞬間。


スクリーンをかけることよりボールを受け取ることに力が入る為、マカロンがほんのゼロコンマ数秒間、フリーになる。