恋愛感情だけじゃない、何か大切な想いがあるのは律子だって同じ。


恋夜の言葉の中に潜んだそんな想いを汲み取った律子は、『ふふ』と喉を鳴らした。


「笑うなよ、悪かったな、話すの下手で」


「嘘ばっか。イツに文句言う時は、上手いことばっか言うじゃない」


あまりに楽しそうな律子に、真剣な顔をしていた恋夜も、いつの間にか再び笑顔に戻った。


そして、恋夜のくれた捨てるところがひとつもない言葉達へ、律子も出来る返事を返して行く。


「レン、君が私を最大の束縛するなら、私も、束縛、させてよね?」


返して、恋夜のプレハブ小屋に置かれた左手に右手を重ねてみると、言葉の温かさとは逆に、外気の温度で冷たくなっていて。


だけど、触れた手からは温もりが、甘さが、愛しさが滲み出る。