仕掛けていとも簡単にやられてしまうことなんて、そうそうないことだ。


それほど、俺は自分に自信があった。自分の技量を過信していたかもしれない。


「そんな顔すんなよ。ラブは下手くそじゃない。寧ろ、テンポの取り方もビハインド・ザ・バックもあんなにタイミング良くこの空気の中でぶち込めないよ」


ボールを周りの連中から受け取ったイツがニンマリ笑う。


「ただ……俺が、お前より上ってだけ」


実力の差を見せつけられたようで悔しい。この悔しさは、これからイツから繰り出されるオフェンスを止めることでしか、きっと解消出来やしないだろう。


「さぁ、行くよラブ!瞬き出来ないような技、見せてやるよ」


「ハン……!あんたの技なんか簡単に潰してゴミ箱にポイしてやんよ!」


そう。この勝負の勝敗は『一本先取』なんだ。一本止められたからってなんだ。こっちも止めて、次で決めりゃいいんだ。