「全く意味分からん。何で1on1をする必要がある?今話したところのどこにその発想が湧き上がった?ん?」


困惑する俺に、皇律子は変わらず笑顔。そりゃもう、べらぼうにキュートな顔。


「君が欲しいから、試したいんだよ。私達のチームに相応しいかね」


この女は、大事なことを省いて話しすぎて訳が分からない。


チームって何?試すって?疑問だらけの会話に嫌気がさす。


「話になんない。大体言っただろ?俺、バスケに費やす時間が無い。あの頃とは環境が違う。違いすぎるんだ」


皇律子にありったけの苛々をぶつけ、くるりと背を向け帰路につこうと一歩踏み出すと、追い討ちをかけるように、皇律子が澄んだ声を出した。


「時間は作れるものだよ、香椎君!それとも、女相手に勝てないの?」


最後の一言は、俺のプライドをガシッと掴んで揺さぶった。


「……いーじゃん、やってやるよ」


案外単純なんだよ、俺。


そんな俺のプライドを刺激すんのなんか容易いことだ。特に、未練がましく捨てきれずにいる、バスケへのプライドは。


「そーこなくちゃ!」


そんな俺に、あの可愛らしい顔でキラースマイルをひとつ、皇律子が送ってきた。