【完】籠球ロマンティック

そう……要らない、のね。


要らないのは、律子が纏うきらびやかな装飾品達だけでなく、本体の『皇律子』そのものだったのだ。


「分かったわ……そういうことなら」


律子は降ろしかけていたエナメルバッグを肩にかけ直し、踵を返して部室のドアを開く。


まだ不満が溜まっているらしい彼女等の醜い罵声を耳にしながら、ぼわん、としてしまう。


生活の中心部だったバスケが、ほんの数分で律子から消えて、そこだけ風穴のようにぽっかりと空いてしまったようだった。


要らない……要らない。何もかも、捨ててしまえば良い。


そう、捨てれば、良いのよ。


ほろり、と意味の成さない涙が右頬を伝ったが、律子は戦慄を覚えるような感情の無い笑みを浮かべていた。


その、感情の無い視線の先には、中学二年にしてEカップにまで成長していた柔らかな双丘が写り込む。


そうよ、捨てれば良いの。こんなもの、削いで捨てれば。


きっと、誰も私を『女』として見なくなるわ。何て、素敵なのかしら。