スマートフォンの画面を伏せて、ふと、ドレッサーの鏡に写る自分に視線を送る律子。


泣いたせいか少し赤い、大きな二重の瞳。ぷるんと桃色に色付いた、食べ頃の果実のような唇。


視線を下ろすと、まだまだ成長途上の周囲に比べ、熟しきり、異性を魅惑する二つの胸の膨らみと、上に引き上がったヒップライン。


その、女性としてかなりレベルの高い装飾品を持った自らの体を、律子は忌々しげに睨み付ける。


「要らないわ……何もかも、消えて無くなってしまえばいいのに」


こんなもの、わたしにとってはごみでしかないのに。


何度そう思ったことだろう。呟いたことだろう。


しかし、律子が願っても、その完成されたきらびやかな装飾品達は、無くなることはない。