誰よりも高いところに飛んだ俺はボールを手元に呼び戻し、ゴールへ向かってまっしぐら。


「コンニャロ!行かせない!」


横浜特攻部隊の中でも一番大きな選手が、大きな手を振り下ろす。それは、まるで隕石のように、早く、重そうで、果てしなく大きい。


ここで競っても、俺が吹っ飛ばされるのは目に見えてること。


高く、伸びやかに飛んでいた体をぎゅ、とアコーディオンのポンプのように縮めた俺は、翼が効力を失い、引力に従って地面に降り立つその前に、ふわり、とワンショットを放った。


ボールは、光を求めて飛び立つ、俺の翼を引き継いだ青い鳥。


光の先から手を伸ばすように待ち構えるゴールリングの元へ真っ直ぐ飛んだ青い鳥は、そっと、リングを潜っていく。


「……っし!」


小さくガッツポーズと声を落とした俺の足元へ、偶然にも、ボールがコロコロ、と転がってきた。


「今のは悪くないんじゃねぇの?」


今度は優しく俺の頭を撫で付けたイツに、俺も溢れる笑みを向ける。


「あんた、自分の弟分でしょ、信じなよ少しは」


「あら生意気。まぁその生意気も悪くないから許してやってもいいけど?」


何それ、超上から目線なんだけど。でも、言葉を借りるとすれば『悪くないんじゃないの?』的な、ね。