「させるかっ!」


「おおー、流石に腐ってもバスケ部、追い付くか」


しかし、目の前にはいつの間に追い付いたのか、バスケ部の連中の一人が立ちはだかった。


すかさず足を止め、だけどドリブルの手は止めない。


どうやらバスケ部連中の五人の中で、こいつが一番上手いらしい。


他の連中はフォローでディフェンスに入ることはない。それだけ、このモブ男君は信頼が厚いのだろう。


ダム、ダム、ダム、と異様に響き渡る、俺のドリブルを突く音。初心者が出せない、大きなドリブル音と心音が重なり合って、気持ちが高揚する。


「運動神経の良いだけの奴が、バスケ部に勝てると思うなよ!」


「そりゃあ、やってみないと分からないんじゃね?」


ここまで来たら『運動神経だけでなんかバスケめっちゃ出来る男』を突き通して、勝ってやろうじゃないか。


某漫画のエースと同じポジション、だけど全く戦い方の違う俺。


さっきはモノマネする、的なこと言ったけど、まぁそれは無理だし俺のやり方で抜かせて貰おう。


現役だった一年前の癖で、動き出す前に、後ろから自分の足にボールをダム、と通した。