熱く感じるくらいの、まぶしいライトが向けられている。
こっち側から、観客の顔は見えない。
でもみんなきっと、惹きつけられるように、市ノ瀬を見ているんじゃないかと思った。
おれも、そうだったから。
一瞬で惹きこまれて、市ノ瀬から目がはなせなくなった…あの放課後。
「ーーーーー、」
終わらせようとしていたその光景。
それが勢いよく、鮮やかに頭の中に広がって。
グッと高ぶった感情に、おれは歌うのを止めてしまった。
…ほんとは。
棒立ちになりながら、ギュっとこぶしを固める。
…ほんと、は。
体の奥から、ブワーッと感情がこみ上げてくる。
……ほんとは、さぁ。
これでいい、なんてウソだ。



