きみは金色






市ノ瀬と全く話さないまま数日が過ぎ、合唱コンクールの本番当日を迎えた。



全校生徒が集められた、体育館。


次に出番を控えたおれたち3組は、舞台袖に続くドアの前で、待機させられていた。



「やっべ!次じゃんよ〜」

「舞台上がったらアタマ真っ白なりそう!!」



クラスメートたちの声が飛び交う。


本人たちはヒソヒソ声のつもりだろうけど、興奮しているせいか、いつもの話し声よりも響き渡っている。



こういう行事に、いつもはマトモに取り組まないメンバーだ。


そのせいか今日はみんな、よけいに緊張してしまっているみたいだった。



キッカケは、単なるからかいとか、面白そうって気持ちだったかもしれない。



それでも、おれが音楽室でひどい歌を披露してしまったあの日から。


あんなにやる気がなかったはずの3組メンバーは、みんな積極的に、練習に参加しはじめて。