市ノ瀬は、また歩き出した。 小さな背中はどんどん遠くなって、やがて見えなくなった。 おれは出入り口に立ち尽くしたまま。 押し寄せてくるものすごい後悔に、その場にしゃがみこみたい気持ちでいっぱいになっていた。 変に意識してんなよ。 「じゃ、ねーよ……」 つぶやいてみたけど、そんなのもう後の祭りだ。 制服のズボンの横で、こぶしを作って思った。 …なんかもう、自分。 地球イチかっこ悪い生き物にでも、なった気分だ。