イロイロとか、まあまあとか。明言せずに濁せる便利な言葉だ。
イワコウは、チラッと流し目でおれたちを見たあと、全くさわやかじゃない笑みを浮かべて言った。
「ま、お前らのことを理解しようっていうおれの歩み寄りだ」
「…うわ、いらねぇ」
「殴られたいか飯田」
…聞こえてんのかよ。
つぶやき程度の声だったのにすばやくツッコミを入れられて、首をすくめる。
「提出期限守れよー。あ、あと親とちゃんと話せよー」
イワコウは最後にそうクギを刺して、教卓に戻ると、授業の準備を始め出した。
まだ不満の声が上がっている教室。
この週末には、やっと合唱コンクールが行われる予定だ。
なのにもう進路の話かよ、とか。行事終わったらすぐテストじゃん。勉強うぜー、とか。
不満の上に、さらに不満が重なる。



