うげ、と思ってはなれようとしたとき、裕也がとんでもないことを言い出した。
「だからぁ、チューくらいしたー?」
「は……~はぁ!?」
とんでもなさすぎて、声がひっくり返った。
何を言ってんだコイツは。
「2人っきりで残ってたんだろー?レオならチューくらい…ぶっ!?」
ガッ!!と身を乗り出して裕也の口を押さえた。けど、多分。いや、絶対おそかった。
前から2列目。左から数えて3つ目の、席。
市ノ瀬が、ものすごく真っ赤な顔をしてうつむいていたから。
「あ……」
授業の準備が、すっかり整った机。
ちんまりと積んで載せられたノート。ちんまり、さらに小さくなった市ノ瀬。
聞かれてた。よ、な…?
頭が白紙状態になって、体が固まる。
手のひらの内側で、裕也の口が苦しそうにモガモガ言っていた。



