自分の席に着く前に、例のアホたちにぐるっと囲まれてしまったおれ。
全員が全員、これ以上ないほどの満面の笑みを浮かべて、おれに向けてくる。
「…なにがだよ」
低い声で返すと、悪友たちはソワソワと頭を左右に揺らしながら、いっせいに質問責めを始めた。
「昨日のことだって~!ホウカゴっ!!」
「市ノ瀬さんと残ったんだろ~!?」
「どこまで?どこまでいった!?」
…芸能レポーターか、お前らは。
答える声も、ため息混じりになる。
「どこまでって……一応、全部通しで歌ったけど…」
「ばっか、ちげーよ!!」
その中でも、主犯格。裕也がよく通る声を張り上げて、顔を近づけてきた。
いつもは眠そうなたれ目が、今日はランランと光って、1.5倍のサイズに拡大されている。



