おれが丸い目をして聞いているのに気づいたのか。
市ノ瀬はハッとしたように言葉を止めて、小さなくちびるを、結んだ。
目が泳いで、顔がほんのり赤くなる。
…うわ。
自分の顔にも熱がジワジワ、上ってくるのがわかる。
うわ。うわあ。うわー。
おれなんて、気にも留められてないって。
市ノ瀬の中には存在してなかっただろ、くらいに思ってたから。
おれのことをそんな風に見ていたことがあったって知って、おどろいた。やばい、嬉しい。
市ノ瀬って、こんなに長い言葉も話すんだな。すげーな。
前もって準備されたものじゃない言葉を、聞けた気がした。
はじめて会話した時より、ずっと心をゆるしてくれているのかもしれない。そう、思えた。
なんていうか。なんつーか。
…市ノ瀬が、ものすごく、かわいかった。



