「…これ、変な歌だよなぁ」
歌詞に、目を通している途中。
思わずおれは、頭に浮かんだことを普通につぶやいてしまっていた。
市ノ瀬が首をかしげて、すぐとなりで、黒い髪が揺れる。
「…そう、かな?」
「んー、なんつーか。なにが言いたいのか、よくわかんね」
もともとおれは、読解力や文章力がある方じゃない。
読書感想文は、小学生のときから大嫌いな宿題の1つだった。
活字のカタマリを読もう、とか書こう、とかすると、頭の中でグチャグチャにからまってしまう気がするからだ。
それに、今は。
市ノ瀬と普通に話せているっていう事実が、じわじわと後からきて。
よけいに頭が、こんがらがってしまうんだと思う。
…だって、さ。すげー、じゃんか。
自分だけに聞こえるように、心の中で言った。



