めちゃくちゃマヌケな声を出して、顔を上げる。
少し不安そうな顔をした市ノ瀬が、座ったまま、おれの方に体を回していた。
「あ……え、と。練習、する?」
「………」
「あの……?」
「……お、おう」
コクコクうなずきながら、反射的にとなりのイスを引く。
ちまちま歩いてくると、おれが用意したイスに座る市ノ瀬。
多分、今までで1番。
距離がグンと、近くなった。
「……楽譜、ある?」
おずおずと、目を合わせないで市ノ瀬が尋ねる。
「え。あ、うん…えー…っと、あれ?さっきまで…」
持ってたはずなんだけど。
…あれ。どこやったっけ。あわてて机を探るけど、見当たらない。しかも、机ん中汚ねえ。
くっしゃくしゃのプリントばっか出てくるから、ちょっと恥ずかしくなった。



