「レオ、市ノ瀬さん!市ノ瀬さん!!」
「こっち来るって!!」
裕也だけじゃない。
固まっているおれを楽しそうに見て、周りのヤツらまで口々に騒ぎ立て始める。
こんなにもにぎやかなんだ。市ノ瀬が気づかないわけがない。
数人の男子…しかも髪色がハデなヤツばかりに、いっせいに注目を浴びているからだろう。
歩いてくる市ノ瀬は、ものすごく肩身せまそうにして、視線を伏せている。
できるだけ急ぎ足で教室に入ろうとしている、小さな体。
「なあなあ、市ノ瀬さーん」
そんな市ノ瀬を、裕也が無理やり引き止めようとした。
「……裕也、」
「いっちのっせさーん!!」
「おい」
「レオに歌、教えてやってよー!」
「……は、」
……はい?
市ノ瀬だけじゃない。驚き顔になったのは、おれも同じだ。



