「アハハハ!?レオ、何やってんのー!?」
「ぶはっ!!何!?ウケる!!」
「しろいーくもをーっ!こえーてー!!」
恥ずかしすぎるけど、いい。
黙って見ているより、ずっと。
大爆笑に負けないように、さらに声を張り上げる。
「にじーのーっ、みどーりーを……ん?」
伴奏が、止まった。
その瞬間、またドッと、音楽室がわいた。
「あはは、市ノ瀬サン、やめちゃったよー」
「ははっ、レオ、下手すぎ!!市ノ瀬さんも耳障りだってよー!!」
みんな爆笑してたけど、おれは笑えなかった。
指を止めたまま、うつむく市ノ瀬のことが気になったからだ。
立ち上がって、目をこらす。
市ノ瀬は、鍵盤上で指を丸まらせて…泣いていた。
「な、なに……」



