きみは金色


プリンになった頭を何度か染め直して、いつの間にか迎えた、高校2年の秋。


髪が金に変わるより、もっとすごい変化があるなんて。



このときのおれはまだ、なにも知らない。









「マッジめんどくさいよなぁ~、合唱コンクール!!」



放課後の教室。


けだるい声にふりかえると、今にも寝てしまいそうな顔が、すぐそこにあった。



中西裕也。同じクラスで、いつもつるんでいるうちの1人だ。



短めの茶髪を、ツンと立てた髪型。


いつ見ても、寝起きみたいなタレ目。


そんなやる気のない顔に加えて、広い肩幅。デカい図体。



そのせいか、友人間でつけられた裕也のあだ名は『冬眠グマ』だったりする。



クマとライオンでいいコンビ。


なんて言われたりもするけど、その時のおれたちの反応はそろって、「げっ」と苦い顔だ。