海辺の砂に触れる真子の白い手が、急に思い出された。
伏せられた瞳。
レオくんはすごいね。そう言った、切ない声。
「受験のとき、プレッシャーに負けて、問題が解けなかったんです。
何も浮かんでこなくて、手が震え出して、カンペキに解かなきゃって、思えば思うほど…っ、」
一生懸命口を動かす真子は、息継ぎをするように言葉を詰まらせる。
「だから……この高校に通うことになったのが、すごく怖かった。早く高校生活が終わってしまえばいいって思ってて。ずっと………でも、」
真子の瞳がユラユラと揺れたあと、おれをとらえる。
おれは席から立った状態のまま、動くことができない。
「でもね、この学校で… ……すごく好きな人が、できました」
真子の言葉に、心臓が、揺れる。
「その人のおかげで……弱いところも、あっていいんだって。失敗してもいいんだって。つまらなくてちっぽけで、大嫌いだった自分も、変われるんだって、思えた」



