音楽室のスライドドアに、手をかける。
ふと、よぎる。
予感だった。この奥に、真子がいる気がした。
待ってくれているような気がした。あの日のまま。あの姿のまま。
ピアノ前に座って、入ってきたおれを見て。そんで目を、丸くするんだ。
そんで。それから。
とてもきれいな、澄んだ目が、おれをとらえてーーー
ーーガチャリ。
スッと引いたつもりが、ドアが開く代わりに、引っかかる音が鳴った。
手をかけたまましばらく固まって、おれはポツリとつぶやいた。
「…カギ………」
…そうだよな。この時間だもんな。
誰もいるわけねーし、そりゃ施錠してあるよな。当たり前だ。
「……はぁ」
息をはいて、コツン、とドアにひたいをぶつけた。



