…なんか、学校が大好きなヤツみたいだな、おれ。
ペタペタと歩きながら、校舎独特の空気を胸いっぱいに吸いこむ。
慣れた景色。もうここを歩くことがないなんて、まだ実感がわかなかった。
…学校が大好き、なんて思ったことはない。
面倒だと思ったことは、たくさんあったけど。
でも多分、嫌いじゃない。
嫌いじゃ、なかった。
髪を金に染めようと決めた日。
おれは何がつまらなくて、何に対してあんなに、反抗的な気分でいたんだろう。
嫌な気持ちになったことだって多いけど。
でもこの校舎には、おれが笑っていられる場所が、数え切れないくらいたくさん、ひしめいている。
たどり着いた最上階。現れた廊下をペタペタと、真っ直ぐ歩く。
先生。生徒。不思議なことに、教室を出てからまだ誰とも出会っていない。



