初めて残って歌を練習した日から、1週間。
おれたち3組のレベルは、前進どころか逆に、後退していた。
みんな、ロクに歌詞は覚えてないし。
最近じゃ、教室に残る人数も半分くらいに減ってしまったからだ。
…っつーか、歌がカタチにならないのは、どの学年でも毎年恒例なんだよな。
マジメに取り組むクラスなんて、ある方がめずらしい。
どうせ本番だって、数人だけでなんとなく歌って終わり。カンタンに予想できる。
でも、予想外だったのは。
「じゃあ、伴奏者は前に出てきてー!!」
…先生が、そんな発言をしたことだ。
うおっ、て思った。
うわっ、て。だって、おれたちのクラスの伴奏者って。
「3組は、市ノ瀬さんだったわよね?」



