…夕方に、この人が家にいて、ちゃんと料理を何品も作っているなんて。
いつもは冷蔵庫に入ってる1品を、おれ1人で食べるだけなのに。
そしてテーブルに並ぶ皿をよく見て、おれはさらにおどろいた。
唐揚げに、ミートスパゲティに、ちらし寿司に、かに玉。
…これ。
全部、おれの好物ばっかだ。
「…今日は、会社早く帰れたから」
「……は、こんな食えねーって」
「いいから、座って」
母親はおれと目を合わせないまま、1人とで先に食卓につく。
そしておれが正面に座ると、小さな声で言った。
「まだでしょう、合格のお祝い」
「………」
「……おめでとう、礼緒」



