裕也の怒った声は、爆笑に変わっていた。
なにが楽しいのかわからないけど、おれたちは笑い続けて、息を切らしながら走った。
明後日の朝、真子に会ったときは、できるだけ笑っていようと思う。
不安なんて全くないみたいに笑って、北海道はどうだったか聞こう。
やっぱメシはうまかったかって尋ねよう。それから。
これからもずっと、好きだって。
…だからおれたちは大丈夫だって、言うんだ。
きっともうしばらくすれば、桜が咲く。
さみしい色をしていた景色も、みんな変わって行くんだ。新しい色に。
今おれたちが走る道も、学校の校舎も。
人が多い駅前も。
よく通った店も。
去年行った、田舎の海も。
…あまり好んで帰らなかった、自分の家の周りでさえ。
まるきり空気を入れ替えたように、きっと、変わっていく。



