近い距離でも、そんな状態だったんだ。
これからは、遠くなる。
簡単には会えない。顔を見れない。
相手を思っての小さなウソさえも、遠い距離をはさんでは致命傷だ。
お互いを、信じられないときがあるかもしれない。
疑ってしまうことがあるかもしれない。
そんな状態で、お互い余裕のないときが重なったら…
なんか、本当に。終わってしまうんじゃないかって。
こう、ヒマな時間が多いとさ。
考えたくないけど……思っちまうときがあるんだよ。
「…裕也は、春から部品会社だっけ。車の」
なんだか気まずくなって、おれは強引に話題を変えた。
「ん?おー。最初はやっぱ、現場に配属らしいわ」
「現場?」
「んー。パソコンとかの事務じゃなくって、肉体労働?的な?」



