「では授業を始めますー!!みなさん、席についてー!!」
チャイムと同時に入ってきた音楽教師が、さっそく声を張り上げる。
キンキン耳に響く声に、思わず、まゆとまゆの間にシワを作っていた。
…いっつも思うんだけど、この音楽教師。
脳天から飛び出た、超音波みたいな声なんだよな。
おれたち生徒じゃなくて、コウモリとでも交信しとけよって言いたくなる。
「今日は少し発声練習をしたあと、合唱コンクールの課題曲の練習に移りたいと思います!!」
おれの苦手なその声をさらに拡張して、音楽教師は言った。
もう合唱コンクールも、近くに迫ってきている。
授業にも練習が食い込んでくることは予想していたけど、気分は萎えた。



